教育改革の新段階と学校に求められる課題

苅谷 剛彦
東京大学大学院教育学研究科教授/
教育社会学

平成16年6月12日

配布資料(訂正分)



今日は、日本の数年間で大きく影響を出すだろうということを今日は話してみたい。
 文科省は学力は低下していないと言っていた。それに対して根拠となるデータがないという指摘があった。そこで文科省もデータ調査を始めた。その結果、文科省は「学力低下はないとは言わなくなった。事実、内部では認めるようになった。文科省の今の文書からは「ゆとり」という言葉は出ていない。
 改訂が始まった途端に始まった改訂の動き、おかしくないか?規則緩和と地方分権化への流れが急速になることは間違いない。

各調査結果をプレゼン。

学校五日制となっての教師の実態調査から、子どものいない長期休業中や土日にも先生方はけっこう働いていること。納税者の立場からいえば、なぜ子どものいない時間に働いているのは不思議。

今の教育改革が子どものためになっていると思っている教師が、小学校では20%、中学校では10%あまりしかいないこと。

会社で言えば、いやいやながら作っているという商品を僕らは買うか?本当にこれ大丈夫なの。社長の方針が悪いかもしれない。ラインが急に変わった、しかたなしにいやいや作っている。こんな感じじゃないのかな。



 なんのための教育改革だったの?
 学校現場とかけ離れた「改革」。改革の担い手の「理解」と「やる気」に不安。
 マジョリティの先生たちは腰が引けている。改革は成功しないはず。先生たちの貴重な時間をどうしたらよいか。

教員の対応に分化が始まっていないか?学校の中で、改革に取り組む人と取り組まない人の違い。先生方と言っても、けっして一枚岩ではない。今は時間という資源をなんとかするしかないと思っている。
 資源投入の削減下での分権化と評価が始まる。「三位一体の改革」のゆくえ、義務教育国庫負担金制度は維持できるか?「人確法」は維持できるか?700兆円という財政赤字と少子化の現実
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「格差の時代」か「多様化」か。格差はめぐりめぐって子どもの格差になる。地方で公立学校しか頼れないところで金が減らされていくときにどうなるの?
マジックワードをつぶしていくことが必要。
「参加」「協同」「地域連携」「規制緩和」「自己責任」眉につばつけて見るべき。
学校(教師)にしかできないことを明確にする。そして、給料分をやること。プロに徹すること。
学校(教師)にはできないことも明確にする。
アカウンタブルな行政と公立学校=税金立の学校だから、どこかで説明しなくてはいけない。


  アンケート結果