「外から見た学校」


丹羽健夫(河合文化教育研究所所長)


配布レジュメ

1 3年で消える公教育のエース教師
 河合塾では公教育でのエース教師を、生徒からの聞き取りを元にデータベース化している。ひょっとして働いてもらえる可能性があるかもしれないと考えて。
 ところが、3年間ほど続けてリストアップされる教師はなかなかいない。エネルギーを持ち続ける力、回りに流されない力が必要。

予備校にやってくる生徒の学習に向かう姿勢で分かる、公教育の中味。
<昔の予備校生>
理解型・肯定型・予定調和型VS納得型
理解型・・・教師が話すことはすべて正しいとして理解する塾生
納得型・・・いつも本当に正しいのかと思いながら聞いている塾生
これからの時代を気づくのは納得型。しかしペーパーテストの上位者は、理解型の塾生ばかりになってしまった。
これは教師が忙しくなって、子どもたちに十分にかかわってやれない状況が第2次ベビーブームあたりから起こったのも要因ととらえている。
<高校と予備校の生き方>
昔は、高校が本質的な理解をさせる教育、塾は正解を求めさせる教育。今や、それが逆転。
装置とからくりから見た塾・予備校VS公教育の違い
予備校は講師と教材が命。
そのために講師の評価は絶対必要。公教育はそれがない。

教科書を自前で作れる教師力。
公教育では、教材づくりをしないところに教師力の低下があるのではないか。
総合的な学習は、この意味から言えば、教師を復権させるもの。しかし、本当にうまくいっているのだろうか。文科省はこれほどまで教師の力を考えていたのか・・・と思うこともある。

 

予備校人気教師の秘密
人気講師の1日を追ってその秘密をさぐったことがある。そこで分かったことは、1時間半の講義に対して、7時間ほどの予習がされていること。前半3時間は、授業のシナリオづくり。授業の盛り上げ方についての検討。後半3時間は、ことば選び。塾生を理解させる言葉を慎重に吟味している。
国民国家日本、文科省、学校
教育の分権化が求められる時代。文科省は省内ではやりこめられている。もはや独り立ちが危ない状態。それゆえ地方分権、他の省での推進が進められている。
いまこそ求められる独自の教育を作り出す教師力(あるいは破壊力)自分たちでカリキュラムづくりを奪い取るほどの迫力と気力がほしい。


アンケート結果